本多和夫の著書
| ||
まえがきより |
||
「もっと安く建つ」とは、無駄をなくし、ただ広さを求めるのではなく、たとえ小さく創っても空間を充実させ 工夫をほどこして、住みやすく心豊かな生活を送れる住宅ができることを知ってほしいのです。 家づくりが大きく変わってきています。資源・エネルギー・ライフスタイルなどを含めて地球環境規模の課題が 突きつけられている中、ゆっくりと生きること居心地が良く住み続けられる暮らしの場を造っていくことが 求められています。大学を出て設計事務所で住宅設計を学び、29才で独立してから27年がたちますの歴史や 町並みを訪ねて強く感じることは、建築はその土地、その時代の文化をあらわすものですし、あるものは芸術の 域まで高められています。そんな緊張感のある空間や美しい町並みから住環境を学んでいます良い建築の 豊かさからは明日への創造のエネルギーが得られます。夢のある建築や住宅をつくることは大変ですが 楽しいことです。そのプロセスを建主と共に味わい、造り手である我々も住みたくなるような設計を心がけて います。建主の夢を具体化し、より良い住まいをつくりたいとの考えから、個人の専用住宅・併用住宅・週末 住宅・二世帯住宅を中心に集合住宅からタウンプランニングまで設計してきました。 これらの多くの仕事が建主と共に楽しく計画から完成まで出来てきたことに感謝します。 コスト調整の中でも全体のバランスを崩さず、建主の夢を叶えたいと、限られた予算でも工夫は限りなくあると 信じ、構想・設計・現場監理のプロセスの中で知恵をしぼってきました。すぐれた建築が出来るときの条件は 昔から言われている良い建主と良い建築家と良い施工者が出会ったときです。 良い建主とは、自分の考えを持ち設計や施工のプロセスを理解して任せることが出来る人のことだと 思います。「家づくり」とは、大工さん他多くの人間がつくるものです。そのためにも良い人間関係が重要です。 良い建築家とは、建主の希望を理解しセンスや人柄が共感でき、設計監理を専門とし継続的能力研修制度に より「登録建築家」「設計専攻建築士」などの認定を受けた人です。 良い施工者とは設計や建築への理解力があり、工事規模や会社内容・技術資格と意欲ある人です。 そして、大切なのは全員がこれからつくるんだ、という意欲を共有することです。 少しでも良くしたいとこだわり、考えながら創る、そんな私の経験がこれから家づくりをする人に 少しでもお役に立てればと願っています。 |
||